きもの好きの方なら一度は「友禅(ゆうぜん)」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか?友禅とは着物の染色方法の一つです。
白生地に下絵を書き、その下絵を糸目糊でなぞっていきます。この糊が図柄や色が隣の図柄、色にしみ込むことを防ぐ防波堤の役割をします。次に図柄に色を挿していき、そして染めあがった図柄の上に伏せ糊をして地色を染めます。最後に糊を落とします。
この染色方法は、絞り染めや型染めに比べ、より自由に図柄を描く事ができ、また多数の色彩を使うことも出来ます。つまり、まるで絵を描くように、染める人の感性を最も忠実に表すことが出来る染色方法なのです。
 
 
 
 
 

では友禅はなぜ友禅とよばれているのでしょうか?実は「宮崎友禅斎」という人名が由来です。宮崎友禅斎は江戸時代の売れっ子町絵師、扇絵師でした。友禅斎が作る扇は当時の大ヒット商品であり、これに気を良くした友禅斎は衣服のデザインにも進出していきました。そしてまた、その頃の世の中の状況はというと、よく知られている「禁令」の時代、つまり「贅沢をしてはいけません!」という時代でした。刺繍や金箔、総絞りといった贅沢な衣装は、作ることはもちろん、持ち合わせの物を着る事すら禁じられました。これで困ったのは当時の着物屋さんです。今まで作っていた物を作ってはダメといわれたのですから...。もちろん当時の人々もお洒落を楽しめなくなってしまい面白いわけありません。この状況を何とか切り抜けようと求められたのが、刺繍や絞りに変わる、禁令に抵触しない新しい染色方法の開発でした。当時の人々はこんな風に思ったのではないでしょうか?

「刺繍や総絞りの着物も着られなくなってつまらないわ。何か新しいお洒落はないかしら?例えば、宮崎友禅斎がデザインした図柄の着物なんてお洒落かも...。」  

友禅染はそんな時代に生まれたのです。
人々が求め、それに応えるデザイナーがいて、そのデザイナーの感性を十分に表現する染色技術が開発され、さらに競争によって技術、感性が進化していきました。そして次第にその染色方法、またはその方法で染色された物を「友禅」と呼ぶようになりました。
 
 
 
 
  「京友禅」、「加賀友禅」、「東京友禅」
この三つが三大友禅と呼ばれています。図柄を実際に染める技法自体はほとんど変わりありませんが、「なにを」、「どういうデザインで」染め上げるのかは、その土地の歴史、風土、そこに住んだ人々によってそれぞれ個性があります。同じ草花を描いてもその土地によって微妙に違ってきます。見比べるのも面白いですよ!
それではそれぞれの友禅を実際に見ていきましょう!
 
 
 
 
古都、京都で発達した京友禅。ご存知の通り京都は貴族、公家が住む雅の世界、そこで好まれた染物は「豪華絢爛」な物でした。紅系統を中心とした鮮やか な色彩の友禅を施した生地に、刺繍、箔置き、絞り染めといった技法を加えて華やさ、 豪華さを出しています。構図的な
金箔、刺繍が施された豪華な表現です。
特徴として「図案的」、「紋様的」とよく言われます。長い都の歴史のなかで洗練された美意識を感じさせ ます。
 
 
 
 
現在の金沢で染められている友禅。それは加賀100万石で有名な前田家・加賀藩で発達した友禅です。加賀友禅は京友禅とは対照的に「絵画的」、「写実的」と言われます。自然の美しさ、儚さを見たままに描こうとし、それは、「虫食い」といわれる葉が枯れてしまった所まで忠実に表す技法に
葉が枯れている様子が表現されています。
も象徴されます。また刺繍や箔をほとんど使わず、ボカシ染めを多用するのも特徴です。武士の実直さを表す染物なのではないでしょうか。
 
 
 
 
江戸―町人の町―で発達した友禅。当時の町人の暮らし振りを表す図柄が多く、「長屋の風景」や「竹林」時には「しゃれこうべ」など、京 友禅 や加賀友禅ではまず描かれない であろう物も、自由に、そして 大胆に図案とします 。また色彩的にも、渋めの色を多用するのが特徴で、まさに「粋」という美意識を感じ させる染物です。
他の友禅に比べ藍色を多様するのが特徴です。
 
 
 
  このように同じ友禅といっても、様々な形で独自に進化していきました。そしてそれは現在にも引き継がれ、各土地のオリジナリティを保ちつつ新しいものを生み出す努力は今も尚続けられております。貴族、武士、町人といった立場も住むところも違う人々の価値観、美意識を受け継ぐ友禅は、着物文化のみならず、日本文化の素晴らしさ、多様性を端的に感じさせてくれるものなのです。
 
住所 新潟市中央区古町5-604-1 営業 10時〜19時 定休日 水曜 TEL 025-228-2200 FAX 025-222-4444 Email